とかげ

とかげ (新潮文庫)

とかげ (新潮文庫)

気がつくとうちには吉本ばななの本がいくつか残っていて・・・。初期ころのものばかりですが。大学生のころのかな。これは短編集ですが、あとがきに「全部『時間』『癒し』『宿命』『運命』についての小説です」と書かれているように、お気楽な感じでは読めなかったです。ドラマチックではなくどちらかというと淡々と描かれているのですが、ゆるーく、ではなく、張りつめていて、読みながら緊張します。結末は、すべて、救われる感じで、胸がチクチクしますが、でもホッとします。
1つ目の「新婚さん」、どうやら電車の中吊小説だったとのことで電車の車両のなかが舞台なのですが、これが一番好きでした。主人公が奥さんが待つ家に帰りたくなくて、乗り越す、どうして帰りたくないのか、、。ガラガラの車両なのに横にぴたっとくっついて座ったホームレス風の男が心の中をお見通しで語りかけます。。「分かるぅーー」という感じですが、少しぞっとします、、、。