千年の森を越えて 

千年の森をこえて

千年の森をこえて

子供の本(一般の本も)を片っ端から読みまくっている友人のブログの記事でみつけ、なんだか気になって読みたくなった本。早速図書館で借りてきた。
子供の本としてはいや大人でも、難しい気がする。文章は自然の描写が素晴らしく、暗く深い森の色や音、風の音などを美しく印象づける。
原文だと詩みたいなんじゃないかな、きっと。だから深く掘り下げて読む、というより雰囲気を感じながら読む感じでしょうか。

森の中のボロ小屋に住んでいる世捨て人、冷酷なガーフェス。彼の狩りのパートナーだったが足に銃弾を受け仕事ができなくなり鎖で繋がれたままの犬、レンジャー。小屋の「下」にレンジャーにかくまわれて一緒に住むことになった森に捨てられたネコ、キャリコと、その子供、パックとザビーン
舞台になるテキサスの東の深い森の沼に住む千年の昔から住む悲しみと恨みを抱いたヌママムシの婆。甕に閉じ込められ、巨大な老木テーダマツの根に閉ざされていたが、雷に打たれたろ老木が死を迎え、自由の身になるまではもうすぐだった。婆を慕い、時には諭す巨大なワニ、キング。ヌママムシの養女、ナイトソングとその夫、ホークマン。ナイトソングは婆の生涯の幸せと絶望と恨みを与えることになる。
と、このような登場人物が、千年の昔、25年前、現在、と3つの時代の流れのなかで物語を綴る。。

初めはこの行ったり来たりする時、その都度変わる割と細かい章、たくさんの登場人物(誰を軸に読んだらいいのか分からなかったため)に、割と苦労して読んだ。ただ登場人物は個性的だし、誰にも同情できる。ひどいやつ、冷酷なガーフェスにさえ、彼をそんな人間にさせたつらい過去を悲しく思ってしまう。登場人物を見守る森の木々や鳥たちのささやきは雰囲気を盛り上げるし落ち着かせるし、ヌママムシの婆はもとは美少女だったが恨みをかい蛇の姿にされてしまったという伝承が下敷きになっている、そういうバックグラウンドもずーんと深みをあたえている(ように思う)。

私が一番いいな、と思ったのはゆったりと流れる時間の中で、巨大なワニのキングは悠然と泳ぎ、浮き上がり、婆は気配を消して潜んでいる感じ、繋がれて動けないいらだちを感じながらもあきらめと、でも落ち着きと安心感を感じさせるレンジャーの動き、そしてぴょんぴょんと元気にすばしこく飛び跳ね、生命力を感じさせる子猫のパックとザビーン、そういうリズムの違う「動き」が面白かったかな。

なんだかまとまりませんが、、、まあ、難しかったな・・・・。