「私のマトカ」 片桐 はいり

わたしのマトカ

わたしのマトカ

友人のブログで見かけて読みたくなった本。これも装丁がめちゃくちゃグッド。映画「かもめ食堂」のロケで、1か月ほどフィンランドに滞在したときのことを記したエッセイ。
すごーい昔、東急東横線の車内で片桐はいりさんを見かけたことがあって、背が高いし、個性的な風貌だし、けっこう目立ってたな。
でも味がある女優さんだよね。で、エッセイも面白かった。ロケの裏話ってよりも、ロケの合間を縫って楽しんだフィンランドでの食事、飲み屋、街など、自然体でいるから(とはいえすごいチャレンジャーなんだけど)現地の素敵な雰囲気や街の匂い、人の感じなどがすーっと入ってくるんだろうなー。短期間で行く海外旅行で、見どころを押さえて地球の裏側にある写真でしかみたことなかったところはこれかー!!と楽しんで帰ってくる弾丸ツアー、こうなっちゃうよね。それで十分だと思うけど、やっぱり普通の人は仕事や普段の生活があるし、予算もあるし。でも現地の人の暮らしを感じられる滞在ができる旅は羨ましいね。

「れんげ荘」  群 ようこ

れんげ荘

れんげ荘

BSで映画「かもめ食堂」やってましたね。
録画機能付きTV買って、ハードディスクの容量も増えまして(以前から使ってたハードディスクレコーダーは一応つないであるけど電源切ってある)
観たいと思った映画録画してある。観てないけど。「借り暮らしのアリエッティ」「ハッピーフライト」などです。でも、いつ観るんだろう(笑)。
さて。最近読んだ本。「れんげ荘」。かもめ食堂の作者、群ようこさんの本。装丁がかわいくて図書館で気になって借りてきました。
主人公は広告代理店の営業で昼もも夜もなく働くバリバリOL、収入はそれなりにあるけど使う時間がない。接待で高級料理店も当たり前に行くし、洋服も営業だからそこそこいいものが必要だけど、ゆっくり選んで買いに行く時間がないから行きつけのブランド店で適当にみつくろってとっておいてもらう。実家暮らしだし、貯金はそれなりにある。
で、そんな彼女が仕事を辞め、実家をでて、新しい生活を始めるんだけど、自分の残りの人生を、働かず、貯金でやりくり、と計算したところ、家賃3万円の物件「れんげ荘」を見つけ、たくさんある洋服やバッグ、その他処分し、最低限のものをもって引っ越し、始めたシンプルライフ
おんぼろで、まぁ趣のあるところなんだけど、四季を感じまくり!まず梅雨時はすごい湿気で、押入れがカビた!夏は虫がすごい入ってくるし、(網戸壊れてるし!!)、冬は寒すぎるし!!
180度変わった生活の中で、「何もしない」という時間に戸惑い、そわそわしてしまう感じ、収入がないので無駄遣いできない、という漠然とした思いのなか、お金のかからない散歩や、図書館をぶらぶらしたり、というところが仕事を辞めた時の自分の気持ちと重なり、面白かった。
れんげ荘の住人とのふれあいだったり、考え方がまったく合わない外面ばかり気にする母との確執とかもあるけど、やわらかーいタッチで描かれていて、体に優しい作品。好きだなー。

ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)

ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)

友達にごっそりお借りした本の1つ。
むー、、どうですかねぇ。なんだか入り込めなかったけど。主人公に共感できなかったというか、よくわからなかった、というか。
中学校時代って、こんなだっけ、、、。異性に興味を持ったり好きな人ができたりという時期ではあるけど。確かに周りには上の兄弟とかがいて早熟だったりいろいろ知らないことを教えてもらってびっくりしたり(笑)したこともあったっけな。こんなグロテスクだったかな。でも自分はもっと子供っぽかったな、たぶん。もっとかわいらしかった青春?。まぁ、どろどろしたとこや赤面なとこは忘れてるのかも。
この作者の小説を初めて読んだので作風とかはまだ謎ですが、読後感はちょっと「クタビレタ・・・」という感じです。
ざーっと読んじゃったからかなぁ。
ちなみに自分が中学のことを思い出すときにバックに流れる音楽は「チェッカーズ」ですが、何か。。

生協の白石さん

生協の白石さん

生協の白石さん

ずいぶん前に一世を風靡した本。図書館で見かけて「そういえばちゃんと読んだことなかったな」と思い借りてきた。
ちなみにこの本図書館の分類だと「雑記」で、結構奥ーーーの方(番号が若い方)にひっそりある。「伊東家の食卓」とかもここ。
いまさら読んでも「大爆笑」とはいかないが、ほんわかして、いい本だ。東京農工大学?の素朴でおおらかな学風が醸し出されているのか。著者の白石さんはそこを強調している。自分の人柄が一番だとは思うが。
大学生協の要望カードとそれに対する返答というかたちで生協前に掲示されたもので面白いものをピックアップした形だが、合間にいくつか白石さんの文章がでていて、本来の目的とはあまりにかけはなれた関係ない投書に「いらっ」としたことが書かれており、同時に「自分がいらっとするなんて、立場を忘れた勘違い!」と猛省しているところ、真摯なすばらしい人だな。と思った。
私が一番好きだったのが、

「白石さん、好きっす。」
「光栄っす。」

これ最高。だから何?という感じだけど、書いた人は「なんて返事が貼られるのかな?」ってわくわくして待ってるわけでしょ?最高だよね。

千年の森を越えて 

千年の森をこえて

千年の森をこえて

子供の本(一般の本も)を片っ端から読みまくっている友人のブログの記事でみつけ、なんだか気になって読みたくなった本。早速図書館で借りてきた。
子供の本としてはいや大人でも、難しい気がする。文章は自然の描写が素晴らしく、暗く深い森の色や音、風の音などを美しく印象づける。
原文だと詩みたいなんじゃないかな、きっと。だから深く掘り下げて読む、というより雰囲気を感じながら読む感じでしょうか。

森の中のボロ小屋に住んでいる世捨て人、冷酷なガーフェス。彼の狩りのパートナーだったが足に銃弾を受け仕事ができなくなり鎖で繋がれたままの犬、レンジャー。小屋の「下」にレンジャーにかくまわれて一緒に住むことになった森に捨てられたネコ、キャリコと、その子供、パックとザビーン
舞台になるテキサスの東の深い森の沼に住む千年の昔から住む悲しみと恨みを抱いたヌママムシの婆。甕に閉じ込められ、巨大な老木テーダマツの根に閉ざされていたが、雷に打たれたろ老木が死を迎え、自由の身になるまではもうすぐだった。婆を慕い、時には諭す巨大なワニ、キング。ヌママムシの養女、ナイトソングとその夫、ホークマン。ナイトソングは婆の生涯の幸せと絶望と恨みを与えることになる。
と、このような登場人物が、千年の昔、25年前、現在、と3つの時代の流れのなかで物語を綴る。。

初めはこの行ったり来たりする時、その都度変わる割と細かい章、たくさんの登場人物(誰を軸に読んだらいいのか分からなかったため)に、割と苦労して読んだ。ただ登場人物は個性的だし、誰にも同情できる。ひどいやつ、冷酷なガーフェスにさえ、彼をそんな人間にさせたつらい過去を悲しく思ってしまう。登場人物を見守る森の木々や鳥たちのささやきは雰囲気を盛り上げるし落ち着かせるし、ヌママムシの婆はもとは美少女だったが恨みをかい蛇の姿にされてしまったという伝承が下敷きになっている、そういうバックグラウンドもずーんと深みをあたえている(ように思う)。

私が一番いいな、と思ったのはゆったりと流れる時間の中で、巨大なワニのキングは悠然と泳ぎ、浮き上がり、婆は気配を消して潜んでいる感じ、繋がれて動けないいらだちを感じながらもあきらめと、でも落ち着きと安心感を感じさせるレンジャーの動き、そしてぴょんぴょんと元気にすばしこく飛び跳ね、生命力を感じさせる子猫のパックとザビーン、そういうリズムの違う「動き」が面白かったかな。

なんだかまとまりませんが、、、まあ、難しかったな・・・・。

anego

anego」 林 真理子

anego

anego

下流の宴」の流れで続いて読んでみた。TVドラマは観ていた。とはいえ細かいことは忘れてしまったが。
読んでる最中も、もう篠原涼子しか浮かばない。ほかも赤西くんとかともさかりえとか。
最初は、まぁありがちな、いまどきの適齢期か、ちょっと焦りだす時期の、アラサー、アラフォー(この当時はこの言葉なかったか)主人公、奈央子(ちゃんと流行とらえてておしゃれで、都会的で、独身だけどボーイフレンドとかはいて、、、、。篠原涼子をイメージしてね)の自分とか周りの恋愛事情とか婚活事情とか、の話なんだけど、どんどん痛々しくなってくる。イタイ、イタすぎる。ぞっとするほど怖いエンディング。あれ、TVドラマは少しは希望が見える終わり方じゃなかったっけ。。。
「いつも大変な方を選んで進んでしまう」と自分も周りも認めているけど、こんなに報われないのって、、、ぱりっとしてて筋が通ってて仕事もそれなりにできて後輩からは慕われ男性からもそこそこもてて素敵な人なのに、、(涙;)と変な感情移入。。。

下流の宴

下流の宴」 林 真理子

下流の宴

下流の宴

NHKでドラマが始まって、「読んでみようかな」と思って図書館に行ったけど区内の図書館で全部で100人位待ってる!!まぁ、いいや、と予約していたら忘れたころに順番がきた。2か月以上待った。忘れてたからいいけど。結局ドラマも観なかったし。
林真理子ってこういうの書かせるとホントうまい、、、好みは分かれるとおもうが。でも一気読みしたってことは面白かったということ。
主人公は福原 由美子、専業主婦。自分は国立大卒、父親は医者、旦那も有名大学出てそこそこの企業に勤めている。今一番の問題は、息子の翔、二十歳が高校をドロップアウト後、いまだにフリーターで、バイトはちゃんとやってるけど上昇志向もなく、もめごとは避けたがり、物欲もなにもないこと。その息子をなだめすかしたり恫喝したりしてなんとか大検でも受けて、由美子の思う「まっとう」な道に戻したいのだが思うように行かない。おまけに、沖縄の離島出のやはりアルバイトの女の子玉緒と同棲し、結婚すると言い出す。この玉緒の実家が由美子としては「ありえない」、あまりにも違った世界なので想像もできないのだ。
由美子の家と、玉緒の家、あまりにも価値観が違いすぎてものすごいバトルが繰り広げられる、、、その中で特に由美子の不愉快なくらい「失礼極まりない」発言とかわいそうなくらいのプライドと、情けない息子と(性格優しいしとてもいい子なんだけど、、)あと玉緒の方の母親のいうことは豪快だし説得力があるし、環境は違いすぎるけど。そういう少しオーバーだけどその辺にありそうなリアルな話。で、また翔の姉の可奈がまた、「いるいる」という感じのしたたかな子で、、、彼女がまた面白くって(でも読んでてかわいそうになっちゃうんだけど)。そしていろいろすったもんだあって由美子が玉緒に私たちとあなたたちと住む世界が違うとかそういうことがんがんいうもんだから玉緒がキレて、「私が医者になったら私のこと認めて謝るか!」とタンカを切る、、。(→この後の受験勉強の下りが結構私は好きだったなぁ、、協力してくれるいろいろな人が面白くて。)
最終的には誰も独り勝ちはしないんですけどね。軽いけど辛口の娯楽小説です。
余談だけど林真理子のブログをよく読んでいるんだけどこの人がこんな流行小説をがんがん書く人なの?と信じられなくなるくらい面白くない(苦笑;)職業柄仕方ないんだろうが、接待か打ち合わせかで行く超高級レストランとか、人気のスイーツとか、ブランド服とか、、でも、食べてばっかりなので(もちろん仕事のストレスもあるだろうが)翌日には「ダイエット―!!!!」と叫んで加圧トレーニングのサロンに行ったりサプリを買ってきたり、、でも翌日は、美食がテーマ。
面白くないと思いつつ読んじゃうんですけど(苦笑X2)。
いろいろ書いちゃいましたが人気作家で才能があるのは事実でしょう。林真理子の小説で大好きなのは「葡萄が目にしみる」「本を読む女」です。