きみの友だち 重松 清

きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

ぜったい泣かせようとして書いてるよね、この作家。
重松清さんの小説をたくさん読んでいくにつれ、、、実は最初は「いじめ」とか現代の学校の闇を告発する社会派の作家なのかな、なんてちらっと思った時期もあったけど、、、。違うな〜やっぱりフィクション(そりゃそうだ)。
でも、泣くもんか、と思っても、涙が、、、。
読んだあとピュアな気持ちになるのは、事実。
泣きたいとき、いい本です。子どもにも、悩みはあるんだ、と。大人にも子供の気持ちを思い出してほしい、と。
”恵美ちゃん---僕はこれから、きみと、きみにかかわりのある何人かのこどもたちの話をしようと思う。”
と作者は切り出し、小さな話がつながっていく。恵美ちゃんの話、クラスメイトの女の子の話、恵美ちゃんの弟、ブンの話、、。
「親友」と軽々しく言う人に違和感を感じてた、、だって、相手もそう思っているとは限らないし、、。
なので、この本に出てくる友だちのいろいろな形には共感します
クラスでのライバル、勉強の成績のライバル、スポーツのライバル、負けると悔しいし、負けたくないけど、そういう気持ちを出してクラスメイトに意識してるとみられるのは嫌だ、というのもわかる。
クラスで仲間外れになりたくなくて、いつも人間関係の相関図を描いてる、どのグループに入ったほうが得か、誰に嫌われたら、最後た、とか。くだらないと思うけど、中学生とかのとき、やっぱりそういうのあったと思うし、、、。
高校、大学、と、だんだん大人になって、「映画を見に行く友だち、」「本の話でもりあがる友だち、」「スポーツ仲間」といろいろな友人ができるようになり、また「ひとりでいること」が嫌でなくなっってきて、ほんとによかったと思った。
子どものときは「ひとりでいること」「ひとりでいる、と思われること」って、怖かった、、、と思う。そういう子がほとんどだったとおもう。でもひとりでいても平気な子がちょっとうらやましかったりもした。
仲良しで「何をするのも一緒」って、おかしいし。趣味も好みもいろいろだとおもうし、でも「嫌だ」と言ったり、違うコと遊んだら嫌われそうで怖いとか、、、。それが思春期かなー。
なーんて、懐かしくなりました。

で、余談ですが、ぽろぽろ泣いたけど、最後の小説の終わらせ方は、ワタシ的には、アレっ、、という感じでした。無理やり、というか、、、。ちょっと最後に醒めちゃった。ま、でも、種明かし、で、いいのかな。