天璋院篤姫 上・下

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)

新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)

大河ドラマ放映中の原作。やはりドラマを見ているせいで、イメージが「宮崎あおい」になっちゃう、、でもよくみる肖像画はなんだかたくましくて健康そうなどっしりした婦人だし、、。ちょっと違和感、、。
ドラマは薩摩での幼少時代や、後々世の中を変えていく、若いころの西郷隆盛大久保利通小松帯刀など、薩摩出身の人物とのからみから描かれていて、また生家の母や乳母から受けた人格形成のバックグラウンドから始まっていて面白かったのですが、それは小説ではないんですねー、、小松帯刀なんて最後まで出てこないよー。西郷隆盛とも江戸に行ってから初めて会うことになってるし、、。
でも小説は小説。迫力があって、飽きずに最後まで読めました。
「女の道は一本道、戻るのは恥」、小説は薩摩の島津本家から江戸の徳川家に嫁ぐところから始まる。本当にかしこくて、潔い女性として描かれていて、最初からひきつけられる。時代や運命を受け入れつつも、流されるのではなく、しっかりとした考え方と、思いやり、義理や情に厚い(ということを効果的に表にだした)性格で、大奥や表方からも絶大な人望を得る。
嫁いだ将軍がすぐに他界し、後継ぎを生むことができず、でも徳川に一度嫁いだものとして将軍家の維持に心を砕く。
本当に、「辛抱して」、「理性を失わず」、「立場をわきまえ」、なんともストレスフルな生き方です、、さすが江戸徳川大奥の御台所。
他界した自分の夫の家定の次の将軍、家茂に嫁いだ京の天皇家和宮との、「嫁姑」の関係に苦慮し、、。二人はかなり対照的に描かれています。
解説にあったけれど、宮は江戸でずいぶんいじめられて、みたいに書かれている本がたくさんあるらしく、篤姫の側から書かれたのは他にはなかなかないそうだ。これにて名誉回復。
大奥ものってあんまり映画とかドラマとかもあまり見たことがなくって、イメージは女の世界のドロドロ、、という感じですが、これは御台所があまりに立派で素晴らしいひとで、仕える総取締もベテランでつけいる隙もなく、、やれ側室だーやれ派閥だーというかんじではなかったのですが、さすがに京都から宮が嫁いできたあとは大変そうでした、、。
それにしても、やはり時代の流れには逆らえず、大政奉還、徳川の時代は終わり、でも篤姫の苦労で、徳川家の断絶にはならなかった(本を読む前は篤姫について、この知識しかなかった、)嫁の立場の和宮とも最後には打ちとけ、死ぬ前に一度、薩摩に行って、、という願いは叶いませんでした、、。
最後の将軍慶喜を最後まで認めなかったのは痛快でしたね、、島津家から嫁いできたときの使命は「いづれ慶喜を将軍に、、」だったのに。。。(笑)。
歴史はあまり詳しくないけれど、幕末ものは面白いです。