ぼくは悪党になりたい 笹生 陽子

ぼくは悪党になりたい

ぼくは悪党になりたい

同じ作家の「楽園の作り方」を1年くらい前に読みました(けっこう面白かった)が、
これも同じようにティーンエイジャーが主人公の物語。
普通に新興住宅地の団地とかに住んでいる平凡な高校生、エイジ。
いや、実はぜんぜん平凡じゃなくて、仕事で海外を飛び回ったりしちゃってるシングルマザーの母親と、
父親の違う小学生の弟と3人暮らしで、毎日家事はほとんどエイジがこなしてたりする。
エイジはこんな境遇にも卑屈になってぐれてるわけでもないし、
弟にも優しいし、友達もそれなりにいるし、、、、。
でも自分の出生の真相とか、友人の彼女との痴話げんかに巻き込まれたり、いろんな大人が登場してきたり、、
でさらに平凡じゃなくなってきて、、
で、もう全部投げ出して(結果として)「ぐれてやるーーーー」とキレて家出する、、、
(家出って、絶対一回は考えるよね、子供って)

で、設定は、書き方によっちゃシリアスになるんだろうけど、、これはジェットコースターのようにスピードがあって、
展開が速くてそいでもっておいおいっていうくらいあさっての方向になっちゃったりで、でも大団円で、なかなかいい読後感です。
ずっとエイジの一人称で彼の語りで話はすすむ、、結果として自分で自分につっこみ入れたりあげたり落としたりで、自虐的に自分のネタを面白おかしく、だからシリアスにならないんだろうなーー。ピン芸人の漫才か、落語家の語り、って感じかな。