きよしこ 重松 清

先月読んだ「エイジ」と同じく、少年が主人公。作者の個人的な、物語、とのこと。自叙伝、ってわけでもないんだろうけど。
勉強も出来るし、野球も得意、でも吃音のせいで、すこし周りと壁をつくったり、でもそのぶん大人だし、人の気持ちも慮ることができる、「かっこいい」きよし。地味だけど、家族思いだし、友達思いだし、。

口から出る言葉がどもらないように、苦手な言葉を使わないで済むように、言う前に考えたり選んだりする。
言ってみてから、「うまくいった、」とか、「50点」とか採点したり、「今日は調子がいいな」と、自分なりに吃音とつきあっていたり、、。
きよしは父親の関係で、引っ越しで学校を何度もかわる。それぞれの土地で関わった周りの大人や、クラスメイトとの話。
もうね、、医者の待ち合いでずっと読んでたんだけど、もうじわじわきちゃって、大変よ、もう。

彼は自分の吃音についてそんなに深刻になっていたりするわけじゃないけど、やっぱり母親は気にするし、周りも気をつかう。
吃音を改善するセミナーで(これも母親のために行ってるようなもんだ)、ある先生は「ここに集まっているのは同じ悩みを持った友達です、普段は一人で悩んだり苦しんだりしている君たちも、ここではなにも恥ずかしがらなくていいんです。同じ悩みや苦しみを分かち合って、友情を深めて行って下さい」と言う。「悩み」とか「苦しみ」とか、悲劇のヒロインみたいに言われて、違和感を感じる。また、『「自信を持ってしゃべれ」「言葉がつっかえたって気にするな」「笑われたっていいじゃないか、そういうつまらないヤツは笑い返せばいいのよ」「胸をはって」。。。そんなことを言う大人に限って、すらすらと、なめらかに、気持ち良さそうに話す』、、。

人を励ますのって、難しい、と思うのと同時に、子供だって、いろいろ考えるし、複雑だし、(ケストナーみたいだ)、対等に接しなきゃ、「あなたのためを思って」とか、そういうのってあるときは思い上がりなんだな、としみじみ思う。
自分のものさしで、人や世の中をみてはならないと、、、。って、難しいけどね。そんないい人になれないし。

でもそんなこと関係なく、「きよし」は優しくて、いいヤツで、かっこいい!!