球形の荒野(上・下)

新装版 球形の荒野 (上) (文春文庫)

新装版 球形の荒野 (上) (文春文庫)

新装版 球形の荒野 (下) (文春文庫)

新装版 球形の荒野 (下) (文春文庫)

松本清張、、、。「点と線」砂の器」「黒皮の手帖」とメジャーどころしか読んでないけれど、昭和30年代、40年代くらいに書かれた、ちょっと古風な感じの話口調とか、けっこう好きです。ちょっといい家の女性が、外出するとき和装ででかけたり、いまで言うセレブ?お嬢様とかそのお母様のマダム?ふうのはなし方とか、、、。
ま、いいとして。この作品はまたまた実家の本棚から父親に薦められて持って来たけど、読み始めてからほとんどイッキ読みでした。面白かったです。冒頭に登場する女性が、奈良の寺で見かけた「あるもの」のことを自分の夫に話し、それから、自分の叔母、その娘(いとこになるのか)に話し、そのいとこが自分の恋人である新聞記者に話し、その彼が大変興味を持つところから話が展開していく。新聞記者は自分なりに調べたり取材を始めるが、思いがけずいろいろな抵抗にぶつかり、「何かが、ある!」という確信を大きくして行く。謎が謎を呼び、調べる対象が殺されたり(よくあるケースだ!)「はっ!」とひらめいて、調査の対象をおいかけてあずさにのって松本や浅間温泉に行っちゃったり、八ヶ岳の麓に行っちゃったり(火サス?っぽい!?)怪しい、と思ってた人が実は味方だったり、いわゆる推理サスペンスなんですけどね、、。奈良、東京、福岡、京都、横浜etc.という横の広がりと、終戦時に死んだはずの人物を取り巻く謎と時代背景という奥行きでスケール大きいです。
そういえば、この話の謎は、日本の降伏、終戦に影で貢献した人物(もちろん当時だったら「非国民」と言われるだろうが歴史的に見れば日本が破滅から救われて立ち直ることに貢献したことになる人物)がモチーフになってますが、このテーマの話はよくありますね、「終戦のローレライ」もそうでしたね、全部架空の人物でしょうが、モデルになってる人はたくさんいるんでしょうね。あんまり歴史は詳しくないけど、面白いつながりです。